スリー・パゴダ・パスと言えば、サンクラブリーの観光スポットの一つであり、また、ビザランに利用しやすい国境として知られていました。
しかし、現在は少し状況が変わっています。
スリー・パゴダ・パスとは
スリー・パゴダ・パスとは、カンチャナブリー県サンクラブリー郡にある峠道であり、同郡の観光スポットの一つです。
名前の由来は、アユタヤ王朝時代、ビルマ(現在のミャンマー)軍が侵攻してきた証拠を残すために建てられた3つのパゴダです。
タイの三大大王の一人「ナレースワン王」やラーマ1世が足跡を残したことや、第2次世界大戦中に日本軍がインド侵攻のために峠を越えたり秦緬鉄道を敷設したりしたことで知られています。
カーンチャナブリーの県章にもスリー・パゴダがデザインされるなどカンチャナブリーの人にとって重要な場所であり、多くタイ人が観光に訪れます。
また、かつては1日限定でイミグレーションにパスポートを預けてミャンマーに入国することが認められており、ビザランに利用されていました。
タイとミャンマーの国境(サンクラブリー・パヤトンズ国境)のすぐそばにあるため、タイ滞在者の間でスリー・パゴダ・パスと言えば、サンクラブリー・パヤトンズ国境を指すことが多かったです。
スリー・パゴダ・パスの場所とアクセス
基本情報
名称 | ・日本語:スリー・パゴダ・パス
・英語:Three Pagodas Pass ・タイ語:ด่านพระเจดีย์สามองค์ |
住所 | Nong Lu Sangkhla Buri, Kanchanaburi 71240 |
アクセス | カンチャナブリーバスターミナルから車で約3時間30分 |
スリー・パゴダ・パスへの行き方
スリー・パゴダ・パスへ行くには、①カンチャナブリーからバスでサンクラブリー市内まで行き、そこからソンテウを利用するか、②ロットゥーを利用する方法が一般的です。
バスとソンテウを乗り継ぐ
サンクラブリー行きのバスは、カンチャナブリーバスターミナルのB9乗り場から約2時間ごとに運行しています。
カンチャナブリーからサンクラブリーまでは約3時間かかり、運賃はエアコンなしが70バーツ、エアコンありが130~180バーツです。
サンクラブリー到着後は、バスターミナル周辺に停まっているソンテウの運転手に声をかけ、「スリー・パゴダ・パス」と伝えて値段交渉をします。
相場は100~150バーツ/人ですが、大人数ならもう少し安くなることがあります。
サンクラブリーからスリー・パゴダ・パスまではソンテウで約20分です。
なお、サンクラブリーでバイクを借りれば、他の観光スポットも一気に回れて便利です。
カンチャナブリーからサンクラブリーまでは山道が多く(サンクラブリーまで約50km付近から)、道路は舗装されていますがアップダウンや急カーブが多いため、酔います。
酔いやすい人は酔い止めを購入しておきましょう。
ロットゥー
カンチャナブリーバスターミナルからスリー・パゴダ・パスまで行くロットゥーも運行しています。
A乗り場のチケット売り場で「スリー・パゴダ・パス」へ行きたいと言えば、案内してもらえます。
運賃は180バーツ前後ですが、時期や会社によって多少の差があります。
基本的に満席になるまで出発しません。
また、運転の荒い運転手が多く、山道でも猛スピードで走行するのでかなりスリリングです。
そのため、安全志向の人にはおすすめできません。
現在、スリー・パゴダ・パスは閉鎖されている
スリー・パゴダ・パスは、2018年7月に閉鎖され、2019年5月現在も閉鎖されたままです。
正確には、タイ人とミャンマー人を含むアセアン諸国の国籍がある人以外の出入国(1日限定入国も含む)が制限されている状態です。
タイ人とミャンマー人のみという話も聞きますが、いずれにしても日本人は出入国できません。
限定入国まで中止された背景には、ミャンマー政府とそれに敵対するモン族の反政府組織との関係があるとされています。
かつては、スリー・パゴダ・パス(サンクラブリー・パヤトンズ国境)のイミグレーションにパスポートを預けてミャンマーに入国し、ミャンマーの観光スポットを巡ってタイに再入国するというビザラン+αのツアーが流行っていましたが、できなくなってしまいました。
2019年5月に遊びに行った際にもツアー会社の人からツアーの勧誘を受けましたが、日本人であることを明かすと「今は出国できないからね、商売あがったりだよ。」とぼやいていました。
今後も、アセアン諸国以外の国籍がある人以外の出入国が再開される目途も立っていません。
また現在は、カンチャナブリーのビザランスポットとしてプーナムロン・ティーキー国境が注目されています。
プーナムロンは、カンチャナブリーから車で約1時間、バンコクからでも約3時間で行けるなどアクセスが良いため、スリー・パゴダ・パスの閉鎖が解けても再びビザランスポットとして脚光を浴びるのは難しいと思います。
スリー・パゴダ・パスの観光
ビザランスポットとしては利用できませんが、スリー・パゴダ・パスはミャンマーを身近に感じることができ、第二次世界大戦の名残を見ることができるなど魅力が多く、サンクラブリーを観光するときは外すことができない観光スポットです。
スリー・パゴダ・パスの駐車場です。
左側にはミャンマー行きの日帰りツアーを取り扱う会社がテントを張っているのが映っています。
以前はもっとたくさんテントが張られていましたが、国境閉鎖の影響でかなり少なくなっています。
店の人も何となくやる気なさげです。
駐車場を抜けたところには、「THE BORDER PEACETEMPLE THAI-JAPAN 25 APRIL 2002(日秦の平和寺)」があります。
サンクラブリーは、第二次世界大戦中に日本軍がスリー・パゴダ・パスを越えるなど、日本とも縁が深い土地であり、スリー・パゴダ・パス以外にも日本がらみのスポットが点在しています。
これがスリー・パゴダ・パスです。
「あれ、思ったより小さい。」と思いませんでしたか。
そう、小さいんです。
写真右端に映る人と比べると分かりやすいですが、いずれのパゴダも2mくらいしかありません。
私も含め、スリー・パゴダ・パスを訪れた観光客の多くが同じように感じています。
しかし、ミャンマーとの戦争の歴史があるため、タイ人、特にカンチャナブリーの人にとっては大切な土地とされています。
また、インドの僧侶がスリー・パゴダ・パスを通ってタイまで仏教を伝えたという伝説も残されているようです。
ここがサンクラブリー・パヤトンズ国境です。
スリー・パゴダから徒歩で100mくらいの場所にあります。
1年前に来たときには兵士や警察官らしい人が立っていたのですが、2019年5月に来たときは「通る前にイミグレーションへ」という看板があるだけで、職員は誰もいませんでした。
国境を閉鎖したことも影響しているのでしょうか。
プーナムロンには何人もの兵士が配置されていたので、対照的でした。
なお、写真の右側の茂みには秦緬鉄道のレールの一部が敷設されており、同じものがミャンマー側にもあります(レプリカということなので未撮影)。
サンクラブリー・パヤトンズ国境のタイ側のイミグレーションです。
国境が閉鎖されたという情報が行き渡っているからなのか、アセアン諸国の人が何人かいるだけで、西洋人や東洋人の姿はありませんでした。
念のため日本のパスポートを提示してみましたが、「No」の一言と一緒につき返されてしまいました。
サンクラブリー・パヤトンズ国境で出入国ができる国が看板になっていました。
イミグレーションの近くにはミャンマーの民芸品などを販売する露店が軒を連ねています。
ミャンマー語も色々なところに書かれ、ミャンマー人もたくさんいるので、ミャンマーに入らなくても雰囲気を感じることができます。
同じタイ-ミャンマー国境でもプーナムロンにはない光景です。
私は知り合いがいるので1年に一度はスリー・パゴダ・パスへ来ますが、毎回、露店での買い物を楽しんでいます。
タナカー、金製品、宝石類、木細工、木製家具、うちわ、民族衣装など様々な商品が売られており、見て回るだけでも楽しいです。